「バブル期+フランス料理=トラウマ②」の巻

さてさて1週間のうちに3度も同じ高級フレンチで食事。

でもまあメニューも豊富そうだし、多少料理が被っても大したことないだろうと思い余裕をかましていた。

先ずはA院長との会食。

私:「院長先生、料理は何に致しましょう?」

A院長「そうだね、いろいろ目移りするけどシェフのおすすめ3万円コースはどうかな」

私:「そうですね、それに致しましょう」

ウエイター:「メインは肉になさいますか、それとも魚になさいますか?」

A院長:「私は肉にしよう、君はどうする」

私:「はい。私も同じもので結構です」

ここで言う3万円とは、当然1人3万円の料理ということである(バブルやなぁ~)。

しかもワイン代は別料金(って全部でいくらになるんだよ・・・)。

でも出てくる料理のすべてが美味しくボリュームもたっぷり、出てくるワインも堪能し院長先生大満足(もちろん私も)。

そこから夜の街へ繰り出し、仕事とはいえ楽しい接待に終わった。

そして翌日。

今度はC院長との会食。

私:「院長先生、料理はどれに致しましょう」

C院長「そうだなぁ、知人からシェフのおすすめ3万円コースが美味しいと聞いたのでそれにしようかな」

私:「(どこの馬鹿野郎がそんな事教えてんだ・・・、わざわざそれを選ばなくても他にもいろいろあるじゃないか・・・)」

私:「・・・・そうですね。院長先生がそう仰るのでしたらそう致しましょう」(ここで半ばあきらめが入る)

ウエイター:「メインは肉になさいますか、それとも魚になさいますか?」

私:「(そうだ、魚だ、魚を選んでくれぇ~)」

C院長:「私は肉にするよ、君は?」

私:「はい・・・私は、さ、さ、さぁ~てどうしようかなぁ。私も同じもので結構です」(魚と言えない私)。

昨日と全く同じメニュー。

味も順番もどちらもすでに分かっている・・・。

昨日はあれだけ美味しかったのに・・・・。

何故だろう、今日はあまり食欲がわかない・・・。

流石に店側も気を利かしてか、ワインだけは変えて勧めてくれた。

フレンチのフルコース、しかも同じ料理を2日続けて食べると本当にイヤになります。

料理のボリュームもさることながら、肉体的な苦痛よりも精神的なダメージの方が大きい。

目の前ではC院長が美味しそうに食べている。

友人・知人となら速攻で別の料理を頼むのだが、何せ状況が状況だけにそういう訳にもいかない。

何とか無理して食べきって店の外へ。

その時店のマネージャーが一言

「大変ですね、お察しします・・・」

そう、彼は知っている・・・。私が明後日も来るということを・・・(悲)。

そしてB院長との会食会の日が来た・・・。

前回2回の疲れが溜まっている・・・。

そして前回と同じ会話が始まる・・・。

私:「院長先生、料理はどれに致しましょうか・・・」

B院長「う~んどれにしよう。迷うなぁ・・・。でもお勧めと書いてあるのが間違いないよね。じゃ~3万円コースにしよう」

私:「(もうこの時点で撃沈、心が折れた)そっ、そうですね・・・・、お勧めが間違いないですよね・・・(泣)」

ウエイター:「メインは肉になさいますか、それとも魚になさいますか?」

ウエイター:「本日は良いヒラメが入っておりますが」(ウエイター君、ナイスフォローだよ(喜)、ありがとぉ~~~。)

流石に見かねた店側が気を利かせてフォローを入れてくれたようだ。

この時ほんのわずか光が差してきたような気が・・・。

B院長:「申し訳ないけど昔から魚が苦手でねぇ。私は肉にします、君はどうする?」

私:「(一瞬にして生ける屍に)・・・はい・・・。私も・・・同じ、もので、結構です・・・・・」

昔どこかで聞いたことがある・・・、誰かが言っていた。

偶然は必然だと・・・。

1週間に3回も同じフルコースを食べる必然がどこにあるんじゃぁ~~~~、ボケェ~~~~(叫)。

流石にもう料理を見る気もしない。

目の前ではB院長が美味しそうに食べている・・・。

普通ならここで「体調が悪いのですが」という言い訳も効くだろう。

しかし目の前で食べているのは、れっきとした医者、しかも内科医・・・。

調子が悪いと一言でも言えば、すぐにその場で診察が始まるだろう・・・・。

仮病は使えない・・・、いや、使えるはずがない・・・(悲)。

一瞬正直に話して食べるのを止めようかとも思ったが、美味しそうに食べているB院長のお姿を見ると何も言えなくなってしまった。

そこで、

「え~い、俺も男だ。最後まで食ってやるぅ~」

と心の中で絶叫。

そしてワインで流し込むようにしてどうにか完食。

何故か疲労感しか残らなかった食事会であった・・・(B院長すいません、決してあなたのせいではございません)。

それから店を出るときに、マネージャーが私のところへ来て一言。

「本当に・・・お疲れ様でした・・・」

本当に心のこもった言葉だった。

そう、まるで戦場で戦い疲れた「戦士」を労わるかのような・・・。

翌日の土曜日、そして日曜日の2日間は完全に体調を崩して寝込み、食事も茶漬けくらいしか胃に入らなかった(そりゃそ~だ)。

翌週、そのマネージャーから私宛にお礼状とワインが1本届いた。

それに加えて「お食事券」として確か1万円のクーポン券。

マネージャーの暖かな心遣いは非常~に嬉しかったのだが、いかんせん体がフランス料理に激しい拒否反応を示している・・・。

さっさとその割引券を同僚にプレゼントしたのであった・・・。

もうあんな経験は二度とないだろうが、その結果次にフレンチを食べたのは10年以上経ってから・・・(本当に本当の話です)。

トラウマが抜けるのに10年かかりました・・・。

過ぎたるは及ばざるがごとし・・・。

そんな諺を身をもって経験した出来事でございました・・・。

おあとがよろしいようで。

 

次回は

「シートベルトは締めましょう」の巻

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