「シートベルトは締めましょう」の巻
今でこそシートベルトを着用する事が義務化されたが、昔(20年以上前)はまだ義務化されていなかった。
だから、当時は一般道路を走る際にほとんどの人がシートベルトをせずに運転をしていた。
しかし、ついに「シートベルト着用の義務」が制定され、運転の際には必ず着用しなければならない日がやってきた・・・。
とはいえ、まだまだ浸透していなかったせいか、着用している人はまばらな状況。
私もそんな一人であった。
そんなある日、仕事で隣の市まで車で行ったときのこと。
ある小学校の近くを通っていると、いきなり
「ピピーーーーー。ピピピーーーーー」
と、警笛が鳴り制服姿の警察官がおいでおいでをしている・・・。
「あちゃぁ~、そ~いや~シートベルトしてなかったなぁ・・・」
と思い、仕方なく停車。
警官: 「はい、こんにちは。今シートベルト着けてませんでしたね」
私:「・・・はい。」
警官:「では向こうの方へ進んでもらっていいですか」
まあ路上でキップを切ると通行の邪魔なんだろうと思い、指示に従い前進。
するとまた他の警官がおり、別の方向へ進むよう指示が・・・。
「えっ、このままじゃ小学校の校庭内に入ってしまうぞ・・・」
と思いつつ徐行運転していると、案の定学校の中へ。
しかし、目の前に広がっている光景を見て目がテンに・・・。
「大きなテントが張ってある・・・・(何で???)。」
「そこに大勢の警官が並んでいる・・・。何故こんなに警官がいるの???(特に真ん中の警官はお偉いさんの雰囲気が・・・)」
「それに大勢の子供達も並んでいる・・・。横に居る大人は先生か・・・?」
別の警官に制止され、まさにその大勢の人の中で車を止めさせられた・・・。
私:「なんなんだ・・・・・、いったい・・・・」
すると、その警官から窓を開けるよう指示が・・・。
この時点で、私は何が起こっているのか全く分からず、マジに軽いパニックに陥っていた。
そこに小学生の男女2名が窓のところへやってきて、
「シートベルトはちゃんと着けましょぉ~」と同時に発声(棒読みで)。
そして私に渡されるパンフレットと粗品・・・。
ここに至ってようやく状況が飲み込めた私・・・。
「なんだ、なんだ、交通キャンペーンみたいなものだったのか・・・」と安心。
しかしここでふと疑問が・・・。
「まさかここまで晒し者にして、キップを切ったりはしないよなぁ・・・」
直後にまた別の警官に誘導され、そのまま車道に。
「まごまごしてたらキップを切られるかも」と思い、速攻でその場を離れ何とか事無きを得た(あ~良かった)。
「しかしこんな恥ずかしいこと、人には言えないから黙ってよう」と、永遠に私の胸の中に仕舞ったのであった。
さてその翌日。
私も一晩寝たらすっかり昨日のことなど忘れてしまっていた。
すると知人が私に近づいてきて一言。
「シートベルトば締めないかんばい(シートベルトを締めないとだめだろう)」(博多弁)。
一瞬何のことだか理解出来なかったのだが、すぐに昨日の事だと理解。
「何故にこいつが知っている?」とは思ったものの、その場はごまかし別の場所へ。
するとそこでも、
「シートベルトば締めないかんば~い」
と同じ事を言われた・・・。
流石に気味が悪くなり、問いただしてみた。
すると出てきたのは新聞。
中を開いてみると「地方版」のところに私がでかでかと載っていた(あっ、ありえん・・・)。
小学生にパンフと粗品を渡されているところがバッチリと・・・。
気が動転していたのか、写真を撮られていることすら全く気付かなかった。
しかも当時は「個人情報保護法」なんて法律もない・・・。
しかし、そこまで大きく載せる必要があったのだろうか・・・。
ただ、載ってしまった以上どうしようもない・・・。
とりあえず開き直って、新聞片手に
「俺は新聞に載ったぞぉ~」
と自慢して回った数日間でした。
まあ周囲の半分はあきれてましたけどね・・・。
あれ以来新聞には載ってないなぁ・・・・・(苦笑)。
おあとがよろしいようで。
次回は
「上海の地下鉄に乗ってみた」の巻