「起業(創業)したいと学生が言うのだが・・・」の巻
私たちが若い頃は、今ほど「起業」という概念は無かった・・・。
どちらかと言うと、「どれだけ良い(有名な)会社に入るか!!」が主眼であったよ~に思う。
まあ時代がバブルでしたしねぇ・・・。
当時の周りを見回しても、あえて起業を選択するような奴はいなかった・・・。
それに、
「起業しなければいけない奴なんて、どこにも雇ってもらえないよ~な奴なんだ!!」
という目で見られたような気もする・・・。
しかし今はどうだろう・・・。
起業(創業)に関する本が山ほど出ているし、大学においては「ベンチャー起業論」という講義もあるくらい、起業に関する環境は整ってきている。
そうなると当然「起業したい」と考える学生も増えてくるのは当たり前。
という事で、1人の学生から起業したいという相談?があった。
学生:「起業したいと思います!!」
私:「成る程。で、どんな仕事なの?」
学生:「世の中の役に立つような仕事です!!」
私:「・・・。世の中の役に立つような仕事って?」
学生:「はい、ですから世の中の役に立つような仕事です」
私:「・・・・。」
まあ学生だから?この程度なのかもしれないけれど・・・。
せめて業種くらい絞って、具体的な内容まで話せるくらいでないと相談に答えられないんですけど・・・(苦笑)。
まあそこは1000歩譲ってあげるとしよう(譲り過ぎやけど・・・)。
次の質問をしてみた。
私:「起業する際は、法人にするの?それとも個人事業主にするの?」
学生:「・・・何ですか・・・、それ?」
おいおい、その差も分からず起業しようというのか学生よ!!(笑)
まあここで少々解説しよう。
法人と個人事業主を簡単に分類すると、
*「法人」
一般的には会社名に株式会社(合資会社や合同会社もある)の名称が付く。企業として認められやすいが赤字でも法人税として年間約7万円程度支払う必要あり。
*「個人事業主」
株式会社などの名称は使えない。社会においては株式会社程の信用は得にくい(一段下に見られる傾向あり)部分はある。但し、年間7万円程度かかる税金を支払う必要はない。
だから学生には、最初から売り上げ見込みが少ないと思える場合は「個人事業主」でスタートする方を勧めてはいる・・・。
まあここまでは学生が理解してくれたとしよう・・・。
次は商習慣についてなのだが・・・。
これもロクに分かっていない学生がほとんど(まあ当たり前といえば当たり前かぁ・・・)。
名刺の渡し方から契約書の作成に至るまで・・・。
もちろん何一つも分かってはいない・・・。
ここまで指摘すると、大概の学生は折れてしまう・・・(苦笑)。
まあそこで折れるよ~な奴は放っておきますがね・・・。
それでもいろいろ吸収しようとする「やる気」が見える学生には以下のアドバイスをするようにしている。
①業種(仕事内容)を選ぶ
流石にこれが定まらないと、それに沿ったアドバイスは出来ない。
そこで学生には「起業する場合は、しっかり起業する業種を決めなさい」と言うことにしている。
②その業種で3年間働いてみる
当然起業するにあたり、業種(業界)のノウハウは必要である。
商品やお金の流れ、業界独特のルール等くらいは分かっていなければいけない。
それらを知って始めるか、知らないで始めるかでは成功確率も自然と違ってくるだろう。
ただ漫然と3年間働くのではなく、3年間で学べるノウハウすべてを吸収するつもりで。
③出来れば30人以下の会社で働く。
これは②に関連するのだが、企業規模が大きくなれば成るほど分業が進んでおり、一面的な方向からしか見えないという可能性もある。
逆に少なければ少ない程、いろんな仕事を兼務する必要がある。
つまりこれはそれだけ多くの仕事を学べるチャンスだと言えるのだ!!
ここで私が述べているのは、「起業するリスクを減らす為」の方法論と言った方が分かり易いか・・・。
福岡県は全国でも珍しい「創業特区」の指定を受けている。
つまりそれだけ起業(創業)し易い環境は整っているし、事実起業する人々は全国平均と比べてもダントツに高い方だと言える。
最初の方でも述べたが、起業したいと考えている学生が増えているのも非常に喜ばしいものだ。
だからこそ、いろんな意味で彼らを応援して行きたいと考えている。
ただ残念なのは彼らが手段と目的をはき違えているという点。
彼らの話を聞いていると、「起業すること」が目的のように聞こえてしまう。
「起業」はあくまで手段であって、目的ではない。
目的は「起業」したあとどうして行くのかという事。
だからこそ起業したいと思う業種で暫く働いてみるのが、実は起業への近道だと言えるのではないだろうか。
そうして働いてみて、尚且つ「起業したい」と思うのであれば、その時は全力で応援します!!
まあ学生に対して辛口な意見ではあったと思う・・・。
でも何と言いますか・・・。
私が学生だった時より、100倍は意識高いと思う・・・(苦笑)。
まあこのような元気な若者達に負けないよう、おっちゃん達も頑張んなきゃね!!
おあとがよろしいようで。
次回は
「久々にカゼひいてしまった・・・」の巻