「葛根湯の怪」の巻
落語の中に「葛根湯医者」という噺がある。
患者①「先生、頭が痛いんですが・・・」
医者「そりゃ~いかん、葛根湯を飲みなさい・・・」
患者②「先生、お腹が痛いんですが・・・」
医者「そりゃ~いかん、葛根湯を飲みなさい・・・」
患者③「先生、子供の夜泣きが止まらないんですが・・・」
医者「そりゃ~いかん、葛根湯を飲ませなさい」
患者④「先生、ど~も女房が浮気をしているみたいなのですが・・・」
医者「そりゃ~いかん、葛根湯を飲ませなさい」
って、浮気に葛根湯は効きませんけども・・・(苦笑)。
とまあこのように昔からいろんな症状によく効く万能薬というイメージが強い漢方薬である。
当然私のドラッグストアーにも置いているのだが、この売れ行きがまたとんでもない。
来店するお客さんが手にとってレジまで持ってくる。
こちらが特にお勧めしている訳でも何でもない・・・。
本当に迷う事なく「葛根湯」を持ってくるのだ。
ちなみにあれだけCMを入れているベン〇ブロックより売れているくらいだから驚きだ・・・。
こう書くとどなたも、
「葛根湯はすごく売れるんだ」
と思われるだろう・・・(まあ当たり前か・・・)。
実のところ、そうバンバン売れるような薬ではないのだこれが・・・。
通常の店舗では葛根湯を置いてもせいぜい3~4種類程度。
これ以上置くような店舗はあまり無いと言っていいだろう・・・。
しかし、当店には10種類以上置いてある。
最初は種類が少なくてすぐに売り切れていたので、欠品を防ぐために種類を増やしていた。
そうすると新しく入れた分も売れて行く・・・。
しかも偏ることなく、満遍なく売れているから余計に意味が分からなくなる・・・。
種類としては、
*顆粒タイプ *液状タイプ *錠剤タイプ の3タイプ。
安いのは500円くらいから高いもので1800円くらい。
カゼ薬という範囲で見てみると、価格帯としては決して高いとは言えない。
だからと言って、お買い得という訳でもないのだけれど・・・。
そこでメーカーや問屋に聞いてみた。
私:「うちの店はよく葛根湯が売れるんだけど、やっぱり福岡市内はどこも結構売れてるの?」
メーカー:「いいえ、そんなことありません。社長のお店だけ異様に数が出てるんですが、何かされてるんですか?」
私:「いや・・・、全く何もしてませんが・・・。どうして売れるんだろう・・・。」
メーカー:「えっ何もされてないんですか?・・・・・どうしてなんでしょうね・・・・・・・・・。」
私:「・・・・・・・・・・」
メーカー:「・・・・・・・・・・」
問屋:「社長の所はどうして葛根湯がそんなに売れるんですか?」
私:「どうして売れるって言われてもなぁ・・・。」
問屋:「またまた社長とぼけちゃってぇ~、やっぱり売り方は秘密なんですね。」
私:「いや秘密も何も・・・」
問屋:「いや社長、分かりますよ。そんなに簡単に秘密は言えませんよねぇ、はっはっはっ・・・。」
私:「まあねぇ・・・(無理だ、こいつには何を言っても信じてくれなさそうだ・・・)」
と、毎年かぜの季節になるとこのような会話が繰り返される・・・。
別にそれが嫌だと言っている訳ではない・・・。
原因がよく分からないので、不気味なだけなのである・・・。
そもそも物が売れるということはそれ相応の要因がある。
確かに葛根湯はかぜの初期症状には良いと言われている。
がしかし、効き目だけなら他の薬品の方がいい(あくまで私見です)。
私なら迷わず他を選ぶのだが・・・・(決して葛根湯を貶しているわけではない)。
それなのに圧倒的に葛根湯が売れている・・・。
だから余計に訳が分からないのだ・・・・。
以前も話したが、当店のすぐ近くに「妖怪ウォッチ」の本社がある。
もしかしたら葛根湯が好きな妖怪が当店に自縛霊として取り憑いているとかね・・・(笑)。
まっ、当店としては売れてくれればそれでいいのですけど・・・(苦笑)。
おあとがよろしいようで。
次回は
「クレーム対応」の巻