日向当帰(ヒュウガトウキ)の各症状に対する働き

血圧降下作用の働き

日向当帰(ヒュウガトウキ)のなかにはノルアドレナリン(交感神経末梢の伝達物質)の作用を抑制し、細動脈の収縮を抑える働きを持つ物質があることがわかっています。

この物質は、末梢組織におけるインシュリンの作用を阻害することなく、脂肪組織内におけるグルコースからの脂肪合成をインシュリンの存在下で増強します。

高血圧が発生する仕組みは、レニン・アンジオテンシン系と神経系の関与が明らかになっており、このうちレニン・アンジオテンシン系にはアンジオテンシン変換酵素が関与しています。

この変換酵素により、活性型アンジオテンシンⅡという物質が体内で増加すると、強い平滑筋収縮作用とアンドステロン分泌が起こり、その結果高血圧症が発生します。

そのため現代医学では、アンジオテンシン変換酵素の阻害剤が高血圧症の治療に多く用いられています。

日向当帰(ヒュウガトウキ)には、このアンジオテンシン変換酵素阻害物質が含まれていることが証明されています。そのため、高血圧状態になったときに血圧を下げる作用があります。

末梢血管拡張作用を伴う抗動脈硬化作用の働き

日向当帰(ヒュウガトウキ)には血圧降下作用がある末梢血管の拡張による血液循環の改善効果と共に、動脈硬化の危険因子でもある過酸化脂質も減少させることから、動脈硬化の進展を抑制させる効果があります。

また、日向当帰(ヒュウガトウキ)の薬効として現在研究中ですが、血小板凝集抑制作用があることもわかっています。この血管内における血小板凝集が動脈硬化の初期段階で深く関わっていますので、血小板凝集抑制作用も動脈硬化の進展を抑える効果があります。

さらに、高血圧症も動脈硬化の進展に関与しています。血圧をコントロールすることで動脈硬化の進展を防止する琴ができると考えられています。

動脈硬化はその血管合併症として心筋梗塞や脳出血、脳梗塞などを引き起こす可能性があります。「人は血管とともに老いる」という言葉があるように、動脈硬化の進展を抑制することで、老化を防ぐことができます。

過酸化脂質による肝障害を抑制する働き

実験用ネズミに過酸化脂質を大量に含む油を1日あたり3ミリリットルずつ11日間のませると、血液中のGOT・GPTの値が上昇し、肝臓には過酸化脂質やコレステロールが増加していき脂肪肝といわれる肝障害が発現してきます。

このとき日向当帰(ヒュウガトウキ)を体重1キロあたり100~200グラム投与しておくと、血清GOTの低下傾向、肝臓の過酸化脂質・コレステロールの低下が起こります。

このことにより、過酸化脂質による肝障害をヒュウガトウキが予防すると考えられます。

※ 過酸化脂質
血管の内膜にある内皮細胞を傷害して動脈硬化を助長するといわれている物質。酸化した食用油だけではなく、例えば冷凍保存した食品は、不飽和脂肪酸が酸化され過酸化脂質が増加するため、1ヶ月の冷凍保存により約10倍に増加するという実験結果もあります。

インシュリンの作用増強効果の働き

インシュリンの作用を測定する実験により、脂肪組織内のグルコースからの脂肪合成が、インシュリンだけの場合とインシュリンに日向当帰(ヒュウガトウキ)を添加した場合とでは、後者の方がより脂肪合成が増加しました。

このことにより抹消組織内でインシュリンの作用を増強する働きのある生理活性物質が日向当帰(ヒュウガトウキ)のなかに存在すると考えられます。

つまりⅡ型糖尿病の患者では、日向当帰(ヒュウガトウキ)によってインシュリンの働きが良くなって、高い血糖が下がる可能性があることが示されています。

このように日向当帰(ヒュウガトウキ)は糖尿病を治すものではありませんが、食事療法や経口抗糖尿病薬と併用することで、高血糖状態をコントロールし血管合併症の発生を抑制します。

気管支ぜんそく・リウマチ・アトピー性皮膚炎・肝炎など

人の体には防御機能が備わっています。いわゆる免疫機能はよく知られていますが、ほかにも自律神経系・ホルモン系・プロスタグランディン系があります。このプロスタグランディン系とは最近30年ほどの間にわかってきた生体の防御機能の一つです。

このプロスタグランディン系防御機能が働くなかで、ロイコトリエンという物質が生成されるとその部位に強い炎症が起こることがわかっています。

これが喘息などのアレルギー反応として引き起こされる症状として現れますので、このロイコトリエンの生成を抑えることができれば、症状は緩和されることになります。

日向当帰(ヒュウガトウキ)の成分であるエタノールアセテート及びメチルアルコール抽出物を用いた実験によりロイコトリエンB4とC4の生成が抑制されることがわかっています。

性機能を活発にする抗ストレス作用の働き

睾丸組織内の男性ホルモンであるテストステロンの増加量を調べる実験により、日向当帰(ヒュウガトウキ)を与えた場合、与えない場合よりもテストステロンが増加したことから、日向当帰(ヒュウガトウキ)には男性ホルモン(テストステロン)を増加させ、男性の性機能を活性化させる物質が存在すると考えられています。

この実験は男性のみで、女性の性機能に関する実験はなされていません。ですがたとえば閉経期の女性がほかの目的で日向当帰の飲用を始めたところ、生理が再開して慌てたといったケースが多数報告されています。

また、日向当帰(ヒュウガトウキ)を飲用した人のアンケート結果によると、疲れなくなった、食欲が出てきた、肩こりがなくなった、などの報告が非常に目につきます。

これはストレスにより放出されるアドレナリンを日向当帰が抑制する作用により、ストレスによる様々な症状を改善するためだと考えられています。アドレナリンは末梢血管を収縮させて血圧を上げ、頭痛や肩こりを誘発するためです。

このストレスは心因性のインポテンツなども引き起こしますので、そのストレス抑制効果により男性自身が回復することにもつながります。

日向当帰に特に多く含まれている栄養素

  • 食物繊維

    食物繊維の効果には血圧の上昇を防ぐほか、コレステロール値を下げる、血糖値の上昇を防ぐ、便秘予防などの働きがあり、1日あたりの必要量は20g~25gとされています。日向当帰(ヒュウガトウキ)には食物繊維が100g中41.5g含まれています。

    野菜の中で食物繊維含有量ランキング1位はしその7.3gですので、日向当帰(ヒュウガトウキ)にはしその約5.7倍多い食物繊維が含まれている事になります。

  • カルシウム

    日本人の栄養調査報告によると、ほとんどの栄養素は必要摂取量を満たしているのに、カルシウムだけが不足していると指摘されています。

    カルシウムの効果には骨や歯を形成する働きのほかに、イライラを鎮め精神を安定させる、細胞分裂を促進する、ホルモンの分泌を調整する、筋肉や心臓の働きを正常に保つなどの働きがあり、1日あたりの必要量は500mg~600mgとされ、この1.5~2倍を摂取することが推奨されています。日向当帰(ヒュウガトウキ)には葉に100g中840mg、根に100g中200mgのカルシウムが含まれています。

    野菜の中でカルシウム含有量ランキング1位はパセリの290mgですので、日向当帰(ヒュウガトウキ)の葉にはカルシウムがパセリの約2.9倍多いカルシウムが含まれている事になります。

  • ビタミンB2

    ビタミンB2の効果には成人病の予防に必要なエネルギーや細胞の新陳代謝を促進するほか、糖尿病予防効果、ダイエット効果、皮膚や粘膜・髪などを健康に保つアンチエイジング効果があり、1日あたりの必要量は1.0mg~1.2mgとされています。日向当帰(ヒュウガトウキ)には100g中0.59mg含まれています。

    野菜の中でビタミンB2含有量ランキング1位はモロヘイヤの0.42mgですので、日向当帰(ヒュウガトウキ)にはモロヘイヤより約1.4倍多いビタミンB2が含まれている事になります。

  • 鉄分

    鉄分は必須ミネラルの一つで、血液の成分として全身に酸素を運ぶ役割があり、運動時の乳酸値を抑えるため、疲労回復や持久力維持の効果があり、1日あたりの必要量は12mgとされています。また鉄分が不足すると貧血以外にも免疫機能の低下や集中力の低下などの症状が現れます。日向当帰(ヒュウガトウキ)には100g中43.4mg含まれています。

    野菜の中で鉄分含有量ランキング1位はパセリの7.5mgですので、日向当帰(ヒュウガトウキ)にはパセリの約5.8倍多い鉄分が含まれている事になります。

  • カリウム

    カリウムは、塩分など体内のナトリウムの排出を促進する働きがある必須栄養素です。厚生労働省による「日本人の栄養摂取基準」にカルシウムや食物繊維、不飽和脂肪酸とともに、日本人がこれまで以上に摂るべき4つの栄養素に指定されており、1日あたりの必要量は2000mgとされています。日向当帰(ヒュウガトウキ)には100g中1,900mg含まれています。

    カリウムには高血圧予防、むくみの予防と改善、筋肉の収縮を正常に保つといった効果、働きがあります。

    野菜の中でカリウム含有量ランキング1位はパセリの1,000mgですので、日向当帰(ヒュウガトウキ)にはパセリの約1.9倍多いカリウムが含まれている事になります。

ガンへの応用

日向当帰(ヒュウガトウキ)が癌を消滅させたりなど、完治させる働きはありません。ですが例えば末期癌の患者さんに与えることで、余命宣告以上の長生きができるなどの例が多く見られます。

現時点では、日向当帰(ヒュウガトウキ)が癌毒素である「トキソホルモンL」の活性を阻害する働きがあることがわかっていますので、それにより癌患者の体力低下を防止し、ひいては延命効果をもたらすものと考えられています。

また癌に対する免疫療法が、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を増加させることによりNK活性を高めて癌細胞を破壊してもらう目的で行われています。このNK活性は日向当帰(ヒュウガトウキ)を投与することにより増加することが確認されています。

さらに緑黄色野菜に含まれるβカロテンが、発癌プロモーターと呼ばれる癌細胞の成育を促進する物質を抑制する効果があることが知られていますが、セリ科の植物に含まれる「クマリン化合物」にも発癌プロモーター抑制作用を持つ物質があることがわかっています。

「急性毒性実験」について

ある物質を薬として用いようと考えたときに、それを大量に使ったら生物の全身にどんな影響が現れるかという実験が最初に行われます。この実験を「急性毒性実験」といいます。

明治薬科大学の奥山徹教授の研究室で行われた実験によれば、「全く異常なし」との結果が出ており、またLD50は体重1キロあたり6グラム以上との結論がされていますが、実際のLD50は測定されませんでした。なぜなら体重1キロに対し6グラム以上の量の摂取は不可能だからです。

これを人間の体重に当てはめると、体重50キロの人が一度に300グラムの日向当帰(ヒュウガトウキ)を食べても、何も問題は起こらないということになります。

また慢性毒性実験により体重60キロの人が、1日あたり150グラムの日向当帰(ヒュウガトウキ)の根を食べつつけても有害な反応は起きないとされています。

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