「博多祇園山笠」の巻
7月に入ると、福岡市の中心街は「博多祇園山笠」一色に染められる・・・。
期間は、7月1日~15日迄の15日間。
「山笠があるけん博多たい!!」
という名フレーズ?があるように、「博多」と言えば「山笠」というイメージが強いのも事実・・・。
今ではすっかり足が遠のいてしまったが、20歳代の中頃には3回程出させて頂いた事がある。
簡単に説明すると、
「山車を皆で担いでゴールまでの時間を競う!!」
といえば分かり易いかと・・・(まあ実際はそんなに単純ではないのだが)。
ただ、全長約6kmを重い山車を担いで走るのだからたまったもんじゃない・・・。
ちなみに、山車の重さは約1トン・・・。
しかも車輪なんか付いてない・・・。
初めて担いだ時には、最初の100mくらいで腰が悲鳴をあげた・・・(これマジ)。
(一応解説として、山笠では「山を担ぐ」とは言わずに「山を舁く(かく)」という。)
山笠に出るきっかけは、高校・大学の同級生が「恵比須流(えびすながれ)」にいたから。
まあ「流れ」と言ってもピンとこないだろう・・・。
これも簡単に説明すると、地域(町内)毎に分けられたグループと考えてもらえれば・・・。
話を戻そう。
その同級生は生粋の博多っ子で、物心付いた頃から山を舁いていたという本格派!!
そいつの誘いで山笠に参加してみたのだ・・・。
男として、山笠の法被姿に憧れない奴なんていないだろうと思う(これも流れ毎にデザインが違うのだけれど)。
初めて山の正装?をした時、物凄く嬉しかったのを憶えている・・・。
因みに山の期間中、この格好は正式な正装とみなされる。
そのため、どんなに高級な場所であろうがドレスコードに引っかかることは絶対に無い。
友人数名とその格好で中洲の町を歩いていると、観光客らしき方達から、
「一緒に写真を撮らせて下さい」
とせがまれる事が度々あった。
こうなると調子に乗ってしまい、朝まで飲んだくれる・・・。
そして翌日は全く走れず、山のスピードに付いて行けない・・・。
言いようのない自己嫌悪におちいる・・・。
という、山笠初心者あるあるなのでした・・・(苦笑)。
(もちろん、本格派の友人はさっさと帰ってさっさと寝てましたけどね・・・。さすがに経験者は違う・・・。)
だが2回目ともなると、ある程度状況が分かっているため前述のような失敗はない。
出来るだけ夜遊び?はしない・・・(笑)。
そして、翌朝に備える!!(ように心がける)
それで何とか山を舁きながら6kmを完走するのだ・・・。
でもまあずっと山を舁いているわけではありませんけどね・・・。
そんな事したら、確実に途中で救急搬送されてしまう・・・(苦笑)。
これは実際に舁いたことのある人にしか分からない、共通の体験?なんだよなぁ・・・。
説明しろと言われても、こればっかりは理解出来るように話せない・・・。
とにかく、「見る」と「やる」では大違いという事なのだ!!
こうやって修羅場?を共有することで連帯感というのが生まれていくのだろう・・・(マジに)。
さて、山笠には見る側の楽しみもある。
山笠のスタート地点でもある「櫛田神社」では桟敷席が用意されており、ここから見る山笠と言うのはまた格別なのだ!!
とは言え、この桟敷席。
並大抵の倍率ではない・・・。
本当の、本当のプラチナチケットなのだ!!
私も過去この席から山笠を見た事は一度たりとも無い・・・。
しかし・・・。
しかしである・・・。
外(桟敷席)から見れないのであれば、中(神社の内)から見れば良い。
そう、それは参加している者の特権なのだ・・・(但し、この時は一番山であった)。
初めて間近(本当に間近)で見た時のド迫力は、今でも鮮明に記憶に残っている・・・。
朝から小雨が降っている状況・・・。
境内の中には、濡れそぼる締め込み姿の漢(おとこ)たち・・・。
興奮状態にあるからだろうか・・・。
全員の身体から湯気が立ち昇っている・・・。
その湯気がまた境内を靄(もや)のように覆っている・・・。
スタート前の静かな緊張感に皆が包まれている・・・。
そして、スタート5秒前のアナウンスが流れる・・・。
この瞬間、静の山から動の山へとスイッチが切り替わる・・・。
そして打ち鳴らされる太鼓の合図!!
溜めに溜められたエネルギーがここで一気に大爆発!!
殺気立った漢たちの掛け声や罵声と共に、怒涛の勢いで進む山(山車)・・・。
すべてが凄い勢いで動いているのに・・・。
目の前のすべてがスローモーションのように見えている・・・。
極限まで研ぎ澄まされた感覚が、そうさせているのだろうか・・・。
櫛田神社の中のコースを、わずか三十数秒で回り切るタイムレース。
どの流れも、ここではコンマ1秒に命をかけている(順位が付くので皆必死!!)。
その結果に一喜一憂する漢たち・・・。
このような光景が目の前で展開されるのだ・・・。
これは桟敷席でのみ体感できることである。
そのため、一般の沿道からでは上記内容を体感するのは難しいと言えよう・・・。
それと付け加えておくが、一般の方も普通に参加は出来る。
必ず「どこの流れに参加するか!!」を決めなければいけないが・・・。
知り合いがどこかの流れに属していたら、その人に頼めばまず大丈夫。
そういう意味では、入会ハードルは非常に低いと言えるだろう。
要は、「参加したいかどうか」という意思決定だけ!!
ちなみに、一度参加して病みつきになってしまった人は非常に多い・・・(山笠の魔力?)。
えっ?
お前はもう参加しないのかって?
実のところ、参加してた独身のころは、
「息子が出来たら一緒に山笠に出よう!!」
と固く心に誓っていた!!
のだが・・・。
フタを開けてみたら娘が2人・・・。
女性は山を舁けないんですよ・・・、これが・・・(小さな女の子は除く)。
こうして私の小さな野望はあえなく消えてしまったのであった・・・(苦笑)。
おあとがよろしいようで。
次回は
「個人的によく行く焼き鳥屋」の巻